2026年9月9日 · 文:Kiyo Darner · 約5分
AIは魔法のランプではありません。大変だったのはデータではなく、その手前でした。
先週、なぜ shochumixer.com を作ったのかを書きました。今回はそこで書かなかった、実際に何が必要だったかの話です。
サイトにどれくらいかかったのか、とよく聞かれます。たぶん「作るのが大変だった」と答えると思われています。違います。2026年にウェブサイトを作ること自体は、これまででいちばん簡単です。データは高くつくし時間もかかりますが、高くて遅いことと、難しいことは別です。高くて遅いは、手を動かし続ければ片づきます。
手を動かし続けても片づかないのが、誰の目にも見えない部分でした。
AIは、存在しないものを作れません
スクレイピングにはAIを使いました。そこを隠すつもりはありません。ただ、AIは魔法のランプではありません。もともとどこにも無かったものを、出してくれるわけではないのです。重い芋焼酎を何で割るか尋ねれば、それらしい答えは返ってきます。それらしく聞こえる文章を作るのがAIの仕事だからです。その答えが良いかどうかは別の問題で、そちらは人間の仕事です。
理屈を決めるのは誰かでなければなりません。単式蒸留だから原料がグラスに残ること、すっきりした米はたいていの割り材を受け止めること、重い芋はウォッカの代用と考えて選んだ割り材と正面からぶつかること、麹が酸を変えること、度数によって加水後に何が残るかが変わること、樽の時間がそのすべてをまた動かすこと。これらは勝手に出てきません。私が書きました。
一本も登録しないうちから、思いつく限りの変数を洗い出すのに何時間も費やしました。いまサイトには焼酎と泡盛が543本、割り材が163種、蔵元が170あります。そのどれとどれが出会ってもいいように、規則のほうが答えを持っていなければなりません。記録を入れる作業は、簡単なほうの半分でした。
いちばん弱いところは、私です
あまり書きたくない部分を書きます。私は人間です。間違えます。偏りもあります。味覚も完璧ではないし、これからも完璧にはなりません。忘れます。
そのすべてが、他人が使う道具の中にそのまま入ってしまいました。落ち着かない話ですが、事実でもあります。誰かに見つけられるより、自分で先に言っておきたいと思いました。あのサイトの提案が間違っているなら、それは私が間違えたからです。
店もあります
これは後ろ盾のない、完全に個人の企画です。Juraku は本業として毎日動いていて、飲食店の経営はそれだけで一つの仕事です。待ってくれない問題も毎日あります。
私の場合、思いつきは降りてきた瞬間に手をつけないと、考えていた筋がそのまま消えます。目の前にディナー営業があるときには、それができません。この企画のかなりの部分は、その隙間で作りました。
ですから、このサイトは完成していません。完成したふりもしません。これからも続けます。少しずつ良くしていきます。
そこで、お願いがあります
役に立つと思ったら、共有してください。そして、間違っているところを教えてください。
批判の部分は本気です。私より焼酎に詳しい方はたくさんいます。組み合わせがおかしければ、おかしいと言ってください。蔵元の情報が違っていれば、違うと言ってください。本当に使える道具にする方法は、どこが駄目かを教えてもらうこと以外にありません。
なぜ作ったのか
日本の食と文化を、壁なしで渡したい。ずっとそう思っています。
たいていは壁があります。「え、箸が使えないの」という言い方がそうです。アジアの文化がひとつだと思われているのもそうです。正直に言えば、手を合わせてお辞儀をされると私は少しだけ引っかかります。頭のどこかで「私は僧侶ではないのだが」と思っています。
それでも飲み込みますし、意識して飲み込んでいます。あの仕草に悪意はありません。ただ知らないだけです。知らなかったからといってこちらが噛みついたら、その人はもう二度と私から何かを学ぼうとは思いません。知識は囲い込むものではない。少なくとも私の持っているものは、そうではありません。
私はただ、自分の料理を楽しんでもらいたい。ほかは全部おまけです。
サイトの考え方も同じです。焼酎は「理解してから好きになる資格が出る」もののように売られています。飲み方を覚えて、作法を覚えて、言葉を覚えて、それから一杯。私はそれが逆だと思っていますし、こちらで焼酎が伸びない理由の大きな部分だとも思っています。だからあのサイトは、すでに飲んでいるものから始めて、そこから一本にたどり着く作りにしました。先に資格を取ってもらう作りにはしていません。
試してみてください。そして、どこが駄目か教えてください。
関連記事
気になったらぜひJurakuへ
