2026年8月29日 · 文:Kiyo Darner · 約3分
「ワンピースの店」になるつもりは、まったくありませんでした
ワンピースは、Jurakuのブランド戦略でも何でもありませんでした。始まりは、常連さんが「スーパーボウルをみんなで観たい」と言い出したことです。
試合のためにプロジェクターを設置して、観戦会が終わったあと、せっかくだから使い続けようと思いました。求めていたのは、部屋を支配しないもの。ふと目を上げたときに見て面白いけれど、食事中に不快でも気が散るものでもない何か。
スタッフには別の考えがありました
ホイットニーは当時、柔道をやっていました。だから柔道や相撲、日本のスポーツを流そうと言う。ほかのスタッフは日本の古い映画を推してきました。私はどちらにもあまり乗れなくて、最終的にアニメに落ち着きました。
そこで別の問題が出てきます。
作品が営業の途中で終わってしまう。誰かが手を止めて次を探しにいくことになる。スタッフに任せておくと、店に入ったら『ジョジョの奇妙な冒険』や『食戟のソーマ』が流れていることがありました。アニメは好きです。ただ、お客さまが食事をしている後ろのスクリーンで流したいものかというと、いつもそうとは限らない。
探していた条件
三つあって、書き出してみると思ったより厳しい条件でした。
長く続いていること。金曜の忙しい時間に誰かが次を探しに走らなくて済むように。ずっと追っていなくても、見て楽しめること。そして、背景として成立する内容であること。バーの後ろのプロジェクターは、その下のテーブルが物語を求めていようがいまいが映り続けます。
『ドラゴンボール』も『ポケモン』も条件は満たしていましたが、私がだいたい観てしまっていました。そこで出てきたのが『ワンピース』です。条件をすべて満たしていて、しかも私が一度も観ていない。そして見事にはまりました。
条件に合うのも当然で、1999年から続いていて、話数は千百を超えています。営業中に終わらないどころか、来月にも終わらない。今年からは週1本ではなく年26本までに変わりましたが、後ろに積み上がっている量を考えれば、当分なくなる心配はありません。
そのあとはお客さまが引き継ぎました
はまったのは私だけではなかったようです。
お客さまが気づいて、話しかけてきて、やがてワンピースのフィギュアを店に持ってきてくれるようになりました。コレクションは増え続け、いつのまにか「ワンピースの店」と呼ばれるようになり、こちらが何も計画しないまま店の一部になっていました。
振り返ると、この店のいいものはだいたいそうやってできています。誰かがスーパーボウルを観たいと言い、誰かが柔道を推し、誰かがフィギュアを持ってきて、そのあと別の誰かがまた持ってくる。
居酒屋がいい店かどうかも、結局そこだと思います。プロジェクターの話ではないし、正直に言えばアニメの話でもない。その部屋にいる人が、何かを持ってきたくなるくらい居心地よく過ごせているかどうかです。
それ以来ずっと、ワンピースを流しています。
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